前回の続き。
A 導入
B セカンドプログラム
C メインプログラム
に沿って、ネタ紹介と自分はこうしてる的なことで紹介しましょう。
まぁ導入のネタは本も出てるのでいくらでもありますしね。
何に気をつけてるかとかがお役に立てれば。
A導入
1)「じゃあ最初なので、自己紹介がてらゲームしましょう〜」的に始めるタイプ
・名前呼び
定番ですね。名札をつけてることが多いですが、今日呼んでほしい名前を一人づつ言って、それを全員で呼ぶ。
→名前を呼ばれて嬉しい人もいれば嫌がる人もいるので実は要注意。
→基本的には、名前を確認しましょうくらいにサクッと通り過ぎるのがいいと思います。
嬉しい人は勝手に感じるし、それよりも嫌がる人がいたことを考えると掘らない方が吉。
自分の名前呼ばれると嬉しいですよね、とか、言わんでよろしい。
僕は自分だったらそれ言われるとドン引きするので言いません。恥ずかしいよ、みんなに名前呼ばれるとか。
→ただこれは言う側の方にも効果がある、というか、むしろそっちなんじゃないかと言う気もする。
・自己紹介山手線ゲーム
これもWS教科書に載ってるくらいのゲーム。
山手線ゲームのリズムに合わせて(地域では山手線ゲームのルール説明から必要)自分の紹介を短く言う。
『パンパン A型です パンパン 金魚飼ってます パンパン さそり座です パンパン 昨日髪切りました』
みたいな感じです。
僕は罰ゲームもありにします。言えなかった人は、重大な秘密を告白してもらいます。
大抵は「最近あった嬉しかったこと」を発表してもらって、みんなに良かったねと拍手されなくてはならない、
厳しい罰ゲームです。
→人と違うことを言うのは意外と難しい。
→長く喋る人に対して周りが聞こうとして手拍子を待つと言う現象も大切。
→一人一人が注目は浴びるので、人に見られることにも慣れてもらえるかも。
→終わった後にフィードバック。ほかの人の自己紹介で自分も当てはまった事があればシェア。
昨日髪切った人とか金魚を飼ってる人が実は複数いたり、逆に参加者同士の共通点を探せるという利点もある。
→じゃあ、次はもうちょっと共通点を探してみましょう、と仲間探しのワークに行きやすい。
僕はこの後に仲間探し以外をやることはないかな。セットです。
それぞれ違うことを確認してから仲間を探した方が、仲間が見つからなかった時に当たり前だと思えるし。
・仲間探し
自分の好きな色、好きな動物、行って見たい国、〇〇県と言えば何?など、自分と同じ答えの人でグループをつくる。
グループになれなくてもOK。
→情報を発信し、受信するということですが、大声でやる場合と普通に聞いて回ってグループ作る場合とあります。
制限時間を作ると結局大声で探すことにはなりますが(笑)。
→これは、初めて行く土地などで「この土地の皆さんのことを知りたいので」という始め方をすることも多いです。
「地域CM作り」や地域のエピソードを演劇にするプログラムにも繋げやすい。
募集型で高校生以上、初めて会う人同士、の場合、この三つを順番にやってもいいと思います。
ただし三つやると時間もかかるので、その辺は全体のバランスをみましょう。
2)「じゃあ最初なので、頭と体をほぐしましょう〜」的に始めるタイプ。
・第6感ゲーム
輪なって立ち、喋らずに他の人とタイミングが被らないように座る。被ったら座った人も全員立ってやり直し。
同じルールで立ち上がるのもやる。
→これ大好きでよくやります。
うまくいかなければ2回被りまではオマケ、とかもありですが、勘のいい人は合図を出して座ったり、
子供だと端から順番に座ったり、あの手この手を考え出します。
ゲーム的には合図だったり順番に座るのはルール違反ですが、僕は結構OKにします。
大事なのは工夫する時に、何を考えたか。このゲームは、コミュニケーションについて考える入り口です。
→人はいつ座るかわからない、けど、見る、何か気配を感じようとする。
→人は他人から色々な情報を集めようとする。例え気配とかわかりにくいものでも。
気配を感じるって、人間の能力ってすごいよね。
→しかしなぜか座る時は気配を殺して隙をつこう(何の?)として座りがち。
そうすると周りに自分が座ることが伝わらないので被りやすい。
→人は自分の情報を発信しているそして受診している。発信と受信。
→そのやりとりこそが!!!コニュニケーションだぁ!!!!
このゲームは、座るよりも立ち上がる方が、身体が立ち上がる準備のための情報を発するので、被りににくい。
やった後に、座るのと立つのとどちらかが難しいと言われていますが、どちらだと思いますか?と聞きます。
ここでも、こちらが難しい、ではなく、難しいと言われています、という言い回しを心がけています。
どちらを難しく感じるかは人それぞれ、立つ方が難しいと感じた理由にもコミュニケーションの諸々が
含まれていることが多いです。
解説、発信と受信の話をしてから、もう一度、ちゃんと発信してやってみましょうと言ってやってみる。
手を上げてから座ったり、伸びしてから座ったり、ターンしてから座ったり、
それぞれ発信の仕方が違って面白い(笑)。
発信が被るのにも一応気をつける、合図が被ったら譲り合う、のもコミュニケーション(笑)。
このゲームは時間配分が結構難しいので、どこまで判定を甘くするか様子を見ながらやりましょう。
ゲームの成功も大事ですが、ゲーム中に何を考えてたかと、次にいくための要素(コミュニケーションとか)を
意識してもらうことが目的なので。
この後は、まぁなんでもできるとは思いますが、もうちょっと体を使ってみましょうと言って
ランダムウォークでもいいですし。
・エアー大縄跳び
これは学校では鉄板。
縄をエアーで大縄跳び(全員で一斉に飛ぶのではなく一人づつ飛んだら抜けていくやつ)するだけです。
縄を回すのはアシスタントに頼みます。参加者にやらせると上手くいかない場合があります。
まぁ練習すれば大丈夫。練習もいがいと盛り上がる。ただ意外と回す側の肩の負担が大きい(笑)。
これはオリザさんがやってたのかな、確か。
生徒達も「縄が見えた!」とか「お前飛べてねーじゃん!」とかなかなか盛り上がる。
エアーだけに縄に引っかからないというのもミソです。クラスの雰囲気、ふざける男子のピックアップもできます。
あと、全員に一人一人が見られるので、見られることに慣れるという要素もあります。
飛んだ後は、解説。
「これ不思議なことに、縄が見える気がするんだよね、すごいよね、そしてあいつ飛べてねーなとか
自分引っかかったなとかもなぜかわかる、これ不思議なんだよね。(回してもらう)ほら、なんか
見える気がするから飛んで見ると(飛んで見る)ほら、縄跳びしてるように見える、でも、飛んで
る人が辞めると(縄だけ回ってて飛ばない、スマホいじったり、ねそべったり)なんだかわかんな
くなっちゃう。手を回している人二人の間で一人がスマホいじってるだけ。で、また飛ぶと(飛ぶ)
また縄跳びしてるように見える。はいありがとう(縄回しやめる)。これ楽しいだけのゲームなん
だけど、実は、今日やってもらうことと関係があって、今は3人が、縄回す人、飛ぶ人って自分が
何やるかをわかってて、チームで誰が何をやるか、自分たちが何をやるかわかってる状態だったから、
縄跳びに見えたんだけど、これ一人がわかってなかったらそう見えない、見えなかったよね。これを、
イメージの共有と言ったりするんだけど、今日みんなに簡単な劇を作ってもらうんだけど、劇作る時も
同じで、自分が何をやるか、他の人が何をやるかをみんなで共有していないと、周りから見た時に何
やってるかわかんなくなっちゃう。みんな自分がやることはとりあえず把握してるんだけど、相手が
何をするかも自分の頭の中にしかなくて、お前こうやるはずだったじゃん、いやいや違うよこう
やるって言ったよ、みたいなことが起きます。これはプロの現場でも起きます。でも解決方法は簡単
です、話して確認してください。基本的には今やった縄跳びと同じです。縄跳びができたならできる
はずなので、なんかおかしいな?と思ったら縄跳びを思い出してください。」
この後はエアーキャチボールとかが定番ですが、全然別のワークにも行ける。
ランダムウォークでグループで形作りに行くことが多いかな。
・逆じゃんけん握手
これも楽しい。
長崎の福田修志さんがやってたのをパクってます。ファシリテーター対参加者全員でジャンケン。
参加者は後出しで良いのでファシリテーターに勝つバージョンと負けるバージョンをやる。
ここまでは大抵の人は余裕、たまに間違える人もいるのでそこは逃さず突っ込む。
二人組になって向き合い、左手を握手寸前まで近づける。
空いている右手でジャンケン、負けた方が相手の手を掴み、勝った方は掴まれないように逃げる。
これがなかなか難しい。そして、盛り上がる。
お互いに逃げたり、お互いに掴もうとしてお見合いしたり、失敗で盛り上がれる素晴らしいゲーム。
ただ握手は相手に触る行為なのでそれができるメンバー、状況であることは前提です。
ここからどこにつなげるかもそれぞれです。
福田さんの「こういう事すると頭の奥がうーんってなる、それは健康にいいそうです(笑)」という流れは面白い。
もちろんその前からの流れとその後があってこそですから、皆さんはそのまま言ってもダメですよ(笑)。
僕の場合は「とりあえず逆にしてみると発見がある、じゃんけんにここまで私たちは支配されていたのかとかね、
失敗すると面白いとか、まぁ面白かった、だけでもいいんですけどね」みたいな方向にもっていってます。
発見発見言いすぎるのもよくないので、逆にしてみると面白いですね、でも良いと思います。
・間違いQ&A
これは最近、どうも中高生がその場で思ったことを言葉にしてくれないので開発しました。
なかなか良いです。
こちらからランダムに質問しますが、正解以外のことを答えなくてはいけない、というだけです。
1+1から始めます。
1+1は? 8
1+1は? 5
10-8は? 20
などなどいろんな答えが出ます。
238724878×87238478723とかも即答で答えられます。
で、即答することに慣れてきたら、質問を数字から桃太郎に変えます。
桃太郎は何から生まれた? →パイナップル
桃(パイナップル)太郎がおばあさんに持たされた食べ物は? →にんにく
お供には何がついた? →豚
さらに何がついた? →サソリ
さらに何がついた? →ネズミ
何を退治にしに行った? →サラリーマン
宝物は何をもらった? →アメ
とまぁ、愉快なパイナップル太郎の物語がものの1分でできます。
これを演劇にしましょう、でも良いんですが、まぁそういう可能性もあるかもしれませんね。
ただ、大事なのは面白い話を作ることではなくて、失敗を恐れずに言ったりやったりしてもらうこと。
まぁどう転んでも面白くはなるんですけどね。
で、解説
「今、みんなデタラメだけど(笑)答えてくれましたね。
いつもは正解を探すために考えてると思いますが、
実は今も正解を外すために考えてくれたんですね。桃以外なんだろう?と考えた。
これ大事なことで、考えることはイコール正解を探すことではないんですね。
この愉快なパイナップル太郎の物語は今みんなで考え出したわけです、しかも一瞬で(笑)。
実は僕たちに持っている考えるという力は、こういうことにも使える。
そして、失敗を恐れず、まぁ失敗なんてないので、とりあえず言ってみる、
すると、じゃあパイナップル太郎のお供はこの3匹で良いのか?
と、また考えることができる。サラリーマンを退治するのはなぜか?とか、
考えてみたら色々理由も見つかるかもしれないしね。
今日みんなにこれからやってもらいたいのはこういうことです。
正解が無いって難しいと思いますが、難しいですね、確かに、でもできるので、やってみてください。
やってみて、言ってみてからまた考えましょう。
言ってみて却下されることは無駄ではなくて、そういうものを経験と言いますから、
どんどん経験値積んでレベル上げてってください。」
という感じですかね。
ただ、全く体を動かさないので、できるだけ早めにサクッと終わらせるのが吉、だと今のところ思ってます。
内藤裕敬先輩の絵と音楽のワークショップへの導入には良さそうだなぁ。
自分のワークショップはインタビュー形式が多いので、それに慣れてもらうという意味も今の所大きい。
・ランダムウォーク
はい出ました、定番中の定番。部屋の中をランダムに歩きます。
できるだけ空間に対して均等に、大きなスペースが開かないように。
ここから様々な展開があります。その後何やるかによってそれぞれですね。
全員とすれ違う→全員と目を合わせる→全員と会釈する→全員とハイタッチ
心の中でターゲットを決めてその人からこっそり逃げる→もう一人ターゲットを決めてこっそり追いかける
手を一回叩いたらスピードを半分に、さらに叩いたらさらに半分、二回叩いたら倍速に。
ストップと言われたら歩く、ゴーと言われたら止まる
→ジャンプとクラップ、床触ると回る、など指示と行動を逆にしていく。
言われた人数(手を叩いた数)でグループを作る
→グループで形を作る(三角とか星とか、次第に物の形場所の形などへ展開)
などなど可能性の宝庫ことランダムウォーク。
でもこの前高松WSラボで、結局なんでみんなランダムウォークするんですか?という質問があって、
それもそうですね、でも会場に初めて来た参加者が多い場合などは場所に慣れるということも大事です。
基本的には参加者同士に交わってもらって緊張ほぐすことと、
幾つものタスクを同時にこなしてみるという目的もあります。
どの要素をピックアップするかはその後のプログラムによるでしょう。
そんなことばっか言ってるな。
例えば、タスク増やし系だと
「人にぶつからないようにいろんなことを考えながら歩くというのは改めてやってみると難しいんですが、
日常はもっといろんなこと考えながら歩いてますよね、これが改めてやると難しい、けど、そこには色々
発見があると思っていて、演劇をやるってこともそういうことで、改めて言葉を喋るとか、難しいんです
けど、色々発見がある。今日は色んなことを改めてやってみます、皆さんも色々発見して欲しいですし、
僕も色々発見したいと思います。」
みたいな流れもありますし、仲良くなる系だと
「はい、場所とも他の人とも仲良くなりましたね、あれ?仲良くなりました?仲悪くなってないですか?
大丈夫ですか?さっきより仲悪くなってなければ大丈夫です。じゃあ仲良くなったということで進めますが(笑)、
次はいくつかグループでやるゲームをしたいとと思います」みたいにサクッと進んでもいいと思います。
まぁ導入なので、そんなにいちいち説明しなくても良いとは思います。
前述のいくつかのゲームの後からでも、一発目からでも行けるので、
ただ中高生のアウトリーチの場合、彼らはランダムウォークができないことが多いです。
男女で部屋の半々に分かれるという定番の流れ。
友達にちょっかい出したりしてランダムに歩けない。
歩かないでおしゃべりしてる。
基本的に仲良しグループを崩されることを一番警戒しますから、
あまりうまく歩くことは期待しない方がいいと思います。
できるクラスもあるにはありますが。
でも僕は結構やってもらいます。クラスの雰囲気が一発でわかるので。
ランダムウォークが出来る場合と出来ない場合の2パターン準備しときます。
基本的にはアウトリーチの場合は全員ができなくてもいい。
やらない子はやりません。中途半端にやらせても他が迷惑するだけです。
邪魔しないなら見てていい、やるならちゃんとやる、を選ばせる。まぁ大抵はやりますけど。
男子はまぁバカなので、発表するから考えてねと言っても、一向にやらず、
できてるできてるハハハとか言ってて、
発表の段になって、できてませーんギャハハハー!とか、高校生でもありますからね。
まぁそうならないようにするのが仕事ですが。
困っていた子が楽になる、普段見せない一面を見せてくれる、
という子が一人でもいればやる意味はあります。
話が逸れましたが、とりあえず、導入ですね。
今回挙げたものは「演劇作り」「コミュニケーション」のプログラムに向かうときに僕が使っているいくつかです。
むしろ「演劇作り」「コミュニケーション」の二種類のプログラムしか基本的にはやらないので。
ワークショップは、そんなにプログラムは持っていなくていいと思っていて、
むしろ一つのプログラムでどこまで多様な対象に多様なことができるか。
小学生から高齢者まで、同じプログラムでできたらそれは良いプログラムです。
今回挙げた導入は一応そうなっています。高齢者や障がいのある人の場合は工夫が必要ですが。
なかなかプログラムについて書くの難しいな。
とっちらかってますが、先に進みたいのでこの辺りで、また次回。